#162:炭焼き小屋〜居間(二)

 なつかしいねーとか言いつつ、メイミィはお茶をすする。
「報酬は『毎日の食事と、たまにカレーを食べさせてくれること』」
 テルプシコルは言ってからちょっと苦笑する。
「最初はそれで良いなら、と思ったが……よもやあんなにカレーが好きだとは」
 その話を聞いて、なんか複雑な表情になったスフィンクスとネメア。
 とりあえず、テルプシコルに確認してみる。

「えー……マックを用心棒で雇ったのですね?」
「それで、報酬は『カレーを食べさせること』ですよね?」

 うむ、とテルプシコル。
 うんうん、とメイミィ。
 ニ人が頷いたのを確認し、ちょっと思案する巫女ニ名。

「……すみません、私の頭脳が足りないのか理解に苦しむのですが……」
「……わたしも、バカだから分からないのかなあと思うのですけど……」

 額に脂汗まで浮かべつつ。
 怪訝な表情で……

「「なぜ“報酬”を自分で作ってるんですか?」」

 同じ質問を、同時にスフィンクスとネメアは発したのだった。

 そして、それに対し。
 テルプシコルは迷える民を誘う巫女の表情で。
 慈悲深くニ人に告げた。

「案じることはない。もし、この中にバカがいるとしたら……何の疑問も抱かずに嬉々として台所でカレーを作ってる、エプロンの似合わぬ大男だけだ」

 なんとなく、苦笑しながら。
 ネメアは自分が普段使うのと同じエプロンを着けた大男がいるであろう台所の方を見た。
「……おてつだい、してきた方が良いですか?」
 ネメアのその質問に、テルプシコルは速攻で首を振った。
「大丈夫だ。カレーだけはあやつに任せておけば問題ない」
「一番上手だから。それにジンも手伝ってるし」
 とぽとぽ、と。
 ポットからお茶を注ぎつつ、メイミィは笑う。

「今日は、私たちはのんびりしましょー!」

 一同、特に異論は無いようで。
 そのまま、お茶の時間に突入することになるのだった。

「しかし。正直なところ」
 カップを両手で包むように持って、スフィンクスは話し始める。
「マックが仲間になっていたのを見て、もの凄く驚きました」
 苦笑しながら言うスフィンクスを見て、メイミィ目を丸くする。
「え? 前からマックを知ってたの?」
 面識はありませんが、と前置きをして
「帝都では、知らない人はいないほどの有名人ですよ」

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