#164:炭焼き小屋〜居間(四)

 あまりの情報に混乱しつつ。
 メイミィはマックの闘いぶりを思い出してみた。

 ——最初のモンスターとの闘いは格好良かったよね。
   オデットさんの時は『女は殴れない』とか言って、一方的に殴られて。
   アークさんの時は……話をしただけで帰っちゃった……!?

「……嘘みたい」
 呆然と呟くメイミィに、スフィンクスは苦笑しながらこう述べた。

「『最強の帝国騎士』と呼ばれた戦士が、テルプシコル様を守るために一緒に旅をしていると分かったとき。また、その報酬がカレーと聞いたとき……私もそう思ったのですよ、メイミィ」

 考えてみれば無茶な話である。
 特にカレー。

 ——でも、自分で言い出したんだもん。

 メイミィは、なおも絶句しているテルプシコルに変わって心中で弁解してみせた。

「それで、メイミィ。マックとはどうなのですか?」
 にこにこ。
 スフィンクスはメイミィの方を見てそう言うと、にこにこと笑っている。
「へ? どうって、何が?」
 質問の意図が掴めず、メイミィは目を丸くする。
 スフィンクスと同じくらい、にこにこしたネメアも話に加わった。
「マックさんは『メイミィさんのことを守る』って言ったって聞きましたよ」
 ネメアの言葉を受け、スフィンクスはうんうんと頷き、なおも尋ねる。
「ですので、旅の間に何かこう……あったりしたのかな、と」
 にこにこ。
 にこにこ。
 目の前の巫女ニ人の笑顔に、メイミィたまらず大赤面で大慌てである。
「い、いやっ! 別になにもないしっ!」
「何もないならば良いではないか。何をそんなにあわてているのだ?」
 ニヤニヤ。
 ニ人に比べて明らかに悪意がある感じで笑うテルプシコルに対し、邪念のかけらもない素直な笑顔でネメアは言う。
「結構、お似合いだと思うんですけど」
 寸暇の間。
 マックと自分が並んでいる図を脳内で描いて、メイミィはちょっと疑わしげな眼で、ネメアを見た。
「そうかなあ? デコボコじゃない?」
「身長差は確かにありますが、おかしくはないと思いますよ」
 スフィンクスもそれを聞いてクスッと微笑んだ。
「ジンが良く横に並んでいるので、イメージは湧きやすいかと」
 ——なるほど、違和感はないかもしんない。
 思い直したメイミィ、なおも腑に落ちなさそうな感じで腕を組んだ。
「でもねえ……今ひとつピンと来ないというか……」
 うーんと唸りつつ。
 メイミィ、首をひねる。
「自分よりも小さい子だからってだけで、別にテルちゃんやクレイオちゃんだって同じじゃない?」

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