#166:炭焼き小屋、居間(六)

 むうっ。
 わかりやすく頬をふくらませ、不満げにメイミィはテルプシコルに言った。

「見た目はテルちゃんの方がお子様ですよぉだ」
「三百年前は十九歳だったぞ」

 ふふふん。
 テルプシコルはこの反論は予想していたのか、余裕の対応。
 ニヤっと笑って、流し目でメイミィを見る。
「割合幼い子が多かったムーサイの中で、一番のセクシー巫女だったからな」
 ぶっ……
 スフィンクスが口に含んだばかりのお茶を少し吹き出した。
 なんかよく分からない表現に、ネメアはテルプシコルに聞き返す。
「せ、せくしーみこ?」
「うむ。セクシーダイナマイトなトランジスタ・グラマーでオー・モーレツと言われたものよ」

 ——古語?

 さっぱり意味がつかめないが。なんとなく勝ち誇ったテルプシコルの表情が癇に触ったのか。
 むーっとした顔になったメイミィは、不服げに尋ねる。
「……それで、今は?」
「成長待ちだ。あと十年足らずでどうなるかは実証済みだからな」
 あくまで余裕のテルプシコル。
 うー、と悔しそうに唸るメイミィ。
 そんな2人を苦笑して見る巫女2人。

 ——膠着状態。

 そう思われたときに、メイミィはここで何か思いついた物か。
 はたと膝を打つと、何とも言えない笑みを浮かべた。
「そ・う・い・え・ば……テルちゃ〜ん?」
 ニヤニヤ。
「……なんだ?」
 ちょっと警戒するテルプシコルに、メイミィは笑みを浮かべたまま、すっと近寄る。

「テルちゃん、ジンのこと好きなんだよねぇ〜?」

「なっ!?」

 いきなり死角からのアッパーパンチ。
 テルプシコルはあからさまに動揺し、絶句した。
 その隙に、好奇心の光を瞳にともした約ニ名がメイミィに尋ねる。

「そうなのですか、メイミィ?」
「そーなの。ハッキリとは言わないけどね〜」
「奥ゆかしいのですね、巫女神様は」
「なんかね、気がつくとジンと一緒に歩いてたりするんだよねー」
「そうなんですかあ!へぇ〜!」
「うん、テルプシコル様とジンは良いですね。良く似合っていると思う」
「並んで立つと、バランスも良いですよね」
「ジンはすこし気が弱いところがあるから、テルちゃんくらいしっかりしてるお嫁さんの方がいいと思うんだよね」
「ああ、よく分ります」
「こういう場合でも、姉さん女房って言うんでしょうか?」

 とかなんとか。
 色々とイメージとか構築されている三人に。
「ちょ、ちょっと待て!」
 テルプシコルは、猛然と反論してみせる。

「べべ別にジンを愛しているとかそう言うことではなくてだないやそれは単に嫌いではないというか好意を抱いていないかと言えば嘘にはなるがそれは仲間としてのそのなんだむがーっ」

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