#171:炭焼き小屋、居間(十二)

 それを聞き、うんうんと頷くスフィンクスとネメア。
「私たちもそうでしたよ。同年代は女の子ばかりでした」
 苦笑気味に言うスフィンクスに
「数少ない男の子は、だいたい巫女以外とくっつきまして……」
 と、ネメアも続いた。
 たぶん、巫女には声をかけにくかったんだと思いますと寂しげに言うスフィンクスに、メイミィはちょっと不思議そうに尋ねた。
「カリオペちゃん、どんなタイプの男の子が好きなの?」
「え!? 私ですか?」
 うん、と。
 一転して、目をキラキラ輝かせ。
 好奇心たっぷりの視線を、メイミィはスフィンクスに向けた。
「ちょっと、気になるじゃない」
 そうですねえ……
 思案すること、十秒弱。
 スフィンクスはゆっくりと話し始めた。
「頼れるひとが良いですね」
「例えば、あのアークさんみたいな?」
 いえいえ、と。
 即座にスフィンクス、首を振る。
「もう少し落ち着いた感じの年上の殿方がですね。……いや実はその、良いなと思った人がいて、ですね……」
 言いながら、スフィンクスはみるみる赤面する。
 興味深そうに聞き入っていたネメアが、突如何かに気がついたような表情になった。

「ゴート卿ですか?」
「く、クレイオッ!!」

 図星。
 そう思えるほどに、珍しく。
 スフィンクスが狼狽した風になった。

「ごーときょう?」
「ほら、アレだ。マックの師という奴だ」

 そのテルプシコルの言葉を聞き、心底仰天したようにスフィンクスは振り向いた。

「ご、ゴート卿をご存じなのですか!?」
「まるで存じないが、先ほどお主が名前を言っていただろう」
「え!?」

 ものすごい、パニック感。
 もお、赤面するわ汗はかくわ、切れ長の目はまん丸だわ。
 狼狽の極みなスフィンクスに向かって、テルプシコルはニヤニヤしながら話しを続ける。

「マックがどれほど強いかという話になったとき、今の帝国の双拳とやらで、マックと同じくらい強いのだと名前が出たではないか」
「……あ!」

 ようやく身に覚えが付いたものか。
 ふうっと息を吐きながら、スフィンクスはうつむいた。
「そう言えば、そうでした」
 ふむう、と。
 赤面しうつむくスフィンクスを興味深そうにみながら。
 テルプシコルは脇に控えるネメアに尋ねた。
「どのような人なのだ、クレイオ? そのゴート卿と言う男は」
 尋ねられたネメアは、にっこり笑って話し始めた。

「それはです——」
「——私から話しましょう」

 突如、スフィンクスは後ろから腕を回してネメアの口をふさぐ。
 むぐー!? とか言ってるネメアには頓着せずに話し始めた。

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