#175:炭焼き小屋、居間(十六)

「わ」

 表紙を見たメイミィがいきなり赤面した。
 テルプシコル、スフィンクスも平静を装うが、もお耳たぶまで真っ赤である。
「絵草紙ですか」
「あ、はい」
 照れくさそうに苦笑するスフィンクスに、照れくさそうに苦笑するネメアだった。
 表紙には、なんというかそういう裸体画が書かれており。
 余白部分に、色々と文章が書かれている形になっている。

 ちなみに。
 この間、ネメアが市場で買ってきたんですよーと読んでいたのは、星にまつわる物語とこの地の食材を用いた料理本である。

 ——こんなもの、紛れ込むワケがなかろう。

 テルプシコルはそんなことを考えつつ。
 もお、目線は紙面に釘付けである。

 そして、唐突にはじまる鑑賞会。
 全ページ見開きで絵が描いてあり、表紙だけではなく中身も桃色極まっている。
 なお、絵は精緻な描写で抜群に綺麗。
 さすが、ネメアのチョイスであると言えよう。

 そして、この場で一番無邪気な約一名。
 ネメアを捕まえ質問攻めに合わせている。

「こ、これはどういう事?」
「えー、これはですねぇ……」

 解説。
 生来の真面目さが出るのか、ネメアの分りやすくかつ正確な話を
「へぇー」
 と聞きながら素直に頷くメイミィ。
 
「……」
「……」
 興味なさそうなフリをしつつ、耳をさながら童話の空飛ぶ象の如く広げている新旧巫女の二名。
 二十四歳も三百十九歳も、これ以上はないというくらいに赤面している。

 なかなか、変な空間であった。

 そして、鑑賞会は終了した。
 興奮冷めやらぬ四名が、口々に感想を言う。

「いやあ……あのような書物が、な」
 と、テルプシコル。
「ははは……あるんですよねぇ、あぁいう書物も」
 と、ネメア。
「でも、あの書物はいろいろ勉強になったねえ」
 と、メイミィ。
「勉強、とは違う気もする書物ですが」
 と、スフィンクス。

 四人が四人、書物についてコメントをするなか。
 なんでそこまで書物に食いついているのか疑問に思ったのか。

「『書物』がどうしたって?」

 マックは、疑問をストレートに四人にぶつけた。

 ……しばしの沈黙。
 ややあって、四人全く同じタイミングで

『……う、うわああああぁぁぁぁぁーーーっっ!!!!』

公開 : (918文字)

ページトップ