#177:炭焼き小屋、居間(十八)

 かくして。
 マックとネメアは騒がしく台所へと消えていった。
「しかたないなあ、もお」
 肩をすくめながら、メイミィも後に続く。
「……私も行きましょう」
 そんな様子を苦笑しながら見ていたスフィンクスも、メイミィの後ろからついて行った。

 そして、テルプシコルであるが。
 例の書物を持ったままたたずむ——ジンに向かって言った。

「気になるのか、内容?」
「い、いやあ……」

 流石に動揺していたせいか。
 ネメア、メイミィと間違えてマックの脇に立っていたジンに例の書物を渡してしまった。
 そして、ジンはわけも分からず受け取った本を
 ——なんだろう?
 と表紙を確かめて、そこでフリーズ。
 現在に至る、と言うわけだ。

「まあ、まだ早いな」
「う、そうかな」

 ジンから書物を受け取ったテルプシコルは、例の黒い布で簡単にくるんで、ネメアの荷物の上に置く。

 じっ……

 テルプシコルは、じっくりとジンの顔を見つめる。

「……な、何?」
 なんか黙って見つめられちゃって、不安げなジンの背中をぽん、と叩く。
「さあ、台所に行くぞ。味見といったな?」
「そうだね。今回は自信作だってさ」
「そうか、楽しみだな」

 そして、手際の良い野菜の皮のむき方などを論じながら。
 二人は部屋を後にしたのだった。

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