#179:炭焼き小屋

 さらに数日が経過した。
 マックとジンの怪我はすっかり癒えて、旅が再開できるコンディションになった。

「では、私たちはミュートスの里を探すことにする。生き残っている里は、まだまだあるはずだ」
 テルプシコルのその言葉を聞いて、スフィンクスは頷いた。
「ゴート卿とも相談せねばなりません。我々はいったん帝都に戻ります」
 そう言うスフィンクスの横で、ネメアも頷く。
「新しい情報を得たら、またお探ししてお伝えにあがります」
「それまで、しばしのお別れだな」
 そうですね、と言ってからスフィンクスは深々と頭を下げる。
「私たちの里はここからかなり離れているので……本当は是非立ち寄っていただきたいのですが」
 すこし残念そうな表情を見せている——すでに旅立ちに際して仮面をかぶってはいるのだが——スフィンクスにむかって、テルプシコルは微笑んだ。
「それはお主と一緒に行けるときまで待つとしよう。それまでは地道に頑張ることにする」
「かしこまりました。必ず」
 そして、スフィンクスは居住まいを正す。
 ネメアもフードをかぶって後ろに控えた。
「それでは、テルプシコル様。くれぐれもお気をつけて」
「旅のご無事をお祈りしています」
 それを受けて、テルプシコルは深く頭を下げる。
「ありがとう。お主らも気をつけてな」
 そして、お互い頭を下げて、別々の方向に歩き出す。
 メイミィやネメアは見えなくなるまで手を振っていた。

公開 : (598文字)

ページトップ